ケイパビリティとは?“経営資源×オペレーション”
経営戦略研究のなかの大きな議論として、「ポジショニング派」と「ケイパビリティ派」の争いがありました。(今でもありますね。)
ざっくりまとめると、ポジショニング派が「儲かりうる市場を見つけて、儲かる位置取り(ポジショニング)をすることが戦略として優先される」と外部環境を重視するのに対し、ケイパビリティ派は「組織の儲ける能力を鍛えることこそが長期的な競争優位につながる」と内部環境に重きを置きます。
どちらが絶対的に正しい、どちらかが必ず優先される、ということはないと思います。状況に応じて変わる(コンフィギュレーション)という考え方もあります。
ただひとついえるのは、ケイパビリティは、競争を勝ち抜いていく上で重要である、ということです。
今回は、ケイパビリティとは何か?という点について、まとめていきます。
ケイパビリティとは?
ケイパビリティとは、顧客(ターゲット)に価値(バリュー)を提供するために、企業が持つ「組織的な能力」のことを指します。
ターゲットの選定が適切で、定めたバリューに需要があったとしても、ケイパビリティが不足していると、意図したバリューの提供はかなわず、ターゲットを満足させることは難しいでしょう。
言いかえれば、ポジショニングが魅力的だったとしても、ケイパビリティによっては収益をあげることができない可能性があるということです。
では、ケイパビリティとは何によって構築されるのか。そのキーワードが「経営資源」と「オペレーション」です。
経営資源
経営資源とは、企業が経営を行う上で利用可能な資源です。有形・無形を問いません。
次の7つの視点から企業内部の強み(弱み)を把握することが、ケイパビリティ形成の第一歩です。
- ヒト
- モノ
- カネ
- 情報
- 知的財産
- ブランド
- 時間
詳細は「経営資源とは?イメージしやすい7つの資源」でまとめていますのでご覧ください。
オペレーション
ここでいうオペレーションとは、経営資源を使いこなす能力(プロセス・仕組み、構築された組織そのもの)を指します。
どんなに有能な人材が集まっても、その能力を最大限発揮させられる人事システムがなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。また、経営資源の割り当てに関する意思決定について、その質やスピードを向上させられる組織形態も必要です。さらに、優れた特許技術を仕組み化された製造プロセスに載せていくことで、プラスアルファの競争力を生み出すことも可能でしょう。
持てる経営資源をいかに最有効活用するのか。この能力も非常に大切になってきます。
まとめ:ケイパビリティ = 経営資源 × オペレーション
外部との競争に勝ち利益を上げられるような強力なケイパビリティを作るには、経営資源、オペレーション、どちらかだけでは足りません。経営資源と、それを活かしきるオペレーションが備わってこそ、競合以上の価値を顧客に届けることができ、競争を勝ち抜くことが可能です。
自社が持つ経営資源とは何か、これから培っていくべき経営資源は何なのか?
持ちうる経営資源を最大限活用できているのか、オペレーションを改善することで、もっと資源を活かせるのではないか?
経営資源とオペレーションについて定期的に棚卸を行い、「経営資源」と「オペレーション」の掛け算としての「ケイパビリティ」を改善していくことが、中長期的な競争力の向上につながります。
pfworkでも各種サポートを行っていますので、お気軽にご相談ください。