これからは複業が当たり前になると考える理由③
ここ数年、複業(副業)解禁が徐々に本格化し、一部の大企業でも複業が認められ始めていますが、まだ大多数とは言えない状況です。
ただ、複業はこれからの時代に必要となり、そう遠くない将来、複業を認めている会社の方が多い社会になると思っています。
そんな想いもあり、pfworkは、“複業”を1つのキーワード・1つの特長として、企業支援に取り組んでいます。
なぜ複業が必要なのか。複業によって企業が、個人が、社会がどう良くなるのか。複業について考えていることを、いくつかの投稿に分けて書いておきたいと思います。
今回は、「個人にとってのメリット・デメリット」という視点から考えた、複業が必要になる理由についてです。
終身雇用制度の綻び
2019年4月、経団連の中西会長(日立製作所会長)が「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです」「人生100年時代に、一生1つの会社で働き続けるという考えから企業も学生も変わってきている」といった発言をなされて話題になりました。
「ふざけるな!」「自分たちは逃げ切ってずるい!」という反応も一部あったようですが、多くの人が「知ってた」「いまさら騒ぐことではない」と冷静な反応を示していたように思います。
私自身も、ある意味当然の話だと受け止めました。逆に「必ずや終身雇用を守れるように努力する」と言われても信用しなかったと思います。技術革新が急速に進み、どんな大企業であっても継続していけるか見通せない環境下、企業の存続を前提とした終身雇用制度はもうすでに成り立っていないと考える方が自然です。
企業としても、変化し続ける環境において成長し続けるためには、人材育成と新陳代謝を繰り返しながら適応していく必要があるでしょう。
そんななか、個人は何を心がけ、どう対応すればよいのか。
私は「就社」し一心不乱に「奉公」し続けるだけが選択肢ではなく、自ら考え、主体的にキャリアを選んでいくことが強く求められる時代だと考えています。
複業が個人にもたらすメリット・デメリット
終身雇用制度が成り立たず、個人の主体性が求められる時代において、複業は個人にとって多くのメリットがあります。
スキルアップ・エンプロイアビリティの向上に繋がる
複業を行うことによって、必然的に社外に飛び出してビジネスを行うことになります。そこでは、今までのスキルやノウハウだけでは足りず、社内では養えなかったスキル・ノウハウを身に着ける必要が出てきます。
もちろん、一朝一夕に身に着けられるものではないですが、書籍やセミナー等のOff-JTや実際のビジネスを通じた試行錯誤によって、徐々にスキル・ノウハウを獲得していくことは可能です。
そのスキル・ノウハウを既存の仕事に還元することで、会社でのパフォーマンスを向上することにも繋げられるでしょう。
また、社外でも通用するスキルを向上させることで、エンプロイアビリティ(雇われる力/労働市場における個人の価値)の向上にも繋がり、キャリア選択の幅を広げることが可能です。
これらは、複業の大きなメリットといえるでしょう。
新たな人とのつながり(人脈)、社外ネットワークの獲得
複業を通して、社内の仕事だけでは出会えなかった人たちとつながり、今までとは違ったネットワークが広がります。
もちろん社内の人との交流も大切ですが、社外の人脈を広げることで、今までとは違った視点で物事を捉えることができるようになったり、他業種・他職種の人の考えを吸収することで新たなアイデアが浮かびやすくなったりと、ビジネス上の副産物を得られる可能性も高まります。
既存の仕事を行うだけでは得られない関係性や、そこから広がる視点は、複業のメリットの1つです。
主体性・リーダーシップ・チャレンジ精神の醸成
新しいことに取り組むのは、誰にとっても不安が伴うものです。自分はまだ力不足ではないか。失敗したらどうしよう。そんな懸念から、一歩踏み出すことを躊躇する人も多いのではないでしょうか。
ただこれからは「失敗を恐れて安全な道を選ぶ・失敗をしないこと」よりも「思い切って挑戦し、多様な経験を積むこと」への価値がより高まってくると感じています。というのも、企業にとっても、挑戦やイノベーションが今後の課題になっているからです。
複業を行うことで、自らが率先してビジネスを動かさなければなりません。考える時間も、行動する機会も増えるでしょう。そんな経験が、個人の主体性やリーダシップを高め、それが個人の成長に繋がります。
挑戦できる、主体的に行動できる、リーダーシップを発揮し引っ張っていける。これらは、多くの企業が欲しがる人材の特徴でもあります。複業を通して自らの手で挑戦する経験は、キャリアにとって大きなプラスになると思います。
仕事・生活の充実度を高める
「何を仕事にするか」を考えるときに、3つの要素で捉えるといいと言われています。
- やりたいこと
- できること
- 求められること
今の仕事が、この3要素全てに当てはまる場合、それは天職といってもいいでしょう。
ただ、そうでない人も多いでしょうし、今の仕事が3要素全て当てはまっていたとしても、他にもやりたいことがある人もいるでしょう。
複業は「足りていない要素を埋められる仕事」や「3要素全てに当てはまるが、今までやれていなかった仕事」にチャレンジする機会にもなります。
「やりたいこと」ではあるけれどまだ実力が足りないから「できること」ではないと考えて躊躇していた人は、小さい規模でもいいので「やりたいこと」×「求められること」を軸として複業を始めてみて、自身のスキルアップを図りながら「できること」化していくといいでしょう。
「求められること」がはっきりしている人は、隙間時間を活用しながら複業として提供し、お金を稼ぎながらスキルアップするという選択肢もあります。
複業を通じて、これまで以上に仕事の充実度を高め、生活の質を向上させることも十分可能な時代になってきています。
ローリスク
少し違った観点ですが、複業は「守りたいもの」がある人にこそメリットがあると思います。
- 家族がいるため、起業や転職のリスクが取りづらい
- 今の会社の仕事が好きなので辞めたいとは思わないが、社外でビジネスをする経験は積みたい
- 今の会社の待遇が良く、それは捨てがたい
など、それぞれが様々な事情を抱えており、必ずしもリスクをとれる人ばかりではないというのが現実です。
複業は、そんなリスクをとりづらい人でも、平日の夜や休日を有効活用することで、現在の仕事を続けながら行うことができます。
ローリスクで新しいことに取り組める。それが複業の良さでもあります。
複業のデメリット
私自身は、取り組み方さえ間違えなければ、複業に大きなデメリットはないと思っています。
1番やってはいけないことは、複業に意識が向きすぎて、従来の仕事に支障がでてしまうことです。
これは本末転倒な話で、職場で信頼を失うだけでなく、複業禁止処分や場合によっては解雇処分となる可能性もあります。迷惑をかけないことは当然で、むしろ複業の成果を還元しながら今まで以上に成果をあげるよう努めるべきでしょう。
また、複業だからといってプロ意識が欠如することも問題です。
顧客によっては、メインの仕事なのかそうでないのかは関係ありませんし、そもそも「複業」には「本業」という概念はありません。強いて言えばどちらもメインでどちらも本業です。
複業に取り組むからには、モラルやプロ意識を今まで以上に持つこと。この前提を守ることで、複業による好循環が生まれるでしょう。
まとめ
今回は「個人にとってのメリデメ」という観点から、“複業”が当たり前になる理由をまとめてみました。
スキルアップ、社外ネットワークの構築、主体性向上、生活の充実など、複業によって個人にもたらされる価値が非常に大きいと私は思っています。
更に、それがローリスクでデメリットも抑制可能ということであれば、「やりたい」という想いがある人はぜひやってみるべきでしょう。
これまで「外部環境の変化」「企業」「個人」の視点から、複業が当たり前になる理由をまとめてきましたが、「社会」の観点からも「複業が当たり前になる」と考えています。その理由については「これから複業が当たり前になると考える理由④」でまとめていますので、ぜひご覧ください。
なお、pfworkは「複業・副業の始め方ブログ」も運営しています。pfworkとして蓄積した複業のノウハウをまとめることで、「複業を始めたい人」や「最近始めた人」に役立つ情報を提供したいと思っています。複業・副業に関心がある方は、ぜひ「複業・副業の始め方ブログ」もチェックしてみてください。