新規事業成功のカギはマネジメント層の変革から

新事業

第4次産業革命、IoT、AI、VR、5G、DX(デジタルトランスフォーメーション)、ブロックチェーン…。日々の進歩は目覚ましく、新しい技術・製品・サービス・アイデアが世界各地で生まれています。

最近はVUCA(Volatility 変動性、Uncertainty 不確実性、Complexity 複雑性、Ambiguity 曖昧性)の時代ともいわれます。つかみにくく、何が起こるかわからない、説明もつきにくい、そんな事象が当たり前に起きている時代です。

時代の変化を受けて、既存事業にただ留まるだけではダメだという危機感を持つ企業が増えています。業種を跨いだ事業提携、コワーキングスペースの活用、多様性の尊重など、オープンイノベーションを志向し新規事業開拓を意欲的に行っています。

今回は、新規事業推進・新技術導入の上で最優先課題となることの多い「マネジメント層の変革」についてまとめていきます。

新事業成功にはマネジメント層の変革が不可欠

新事業と一口に言っても、既存事業の拡張に近いものから、市場も商品も全く異なる完全多角化まで幅広いです。ただ多くに共通して言えることは「新しい市場」「新しい技術」「新しい製品」「新しいパートナー」など、「新しいもの」にチャレンジするということ。

新しいものにチャレンジするときに課題となるのは、「いかにノウハウを獲得していくか」ということです。自社資源として経験や知識、強みがない箇所に攻めていく。0を1にする道のりには大きな苦労が伴います。

その苦労を乗り越えるためには、新事業を「絶対に必要なもの」と強く思い、「多少のことでは諦めない」覚悟を持っておく必要があります。重要な意思決定を担うマネジメント層にこそ、この思いと覚悟が必要です。

マネジメント層の危機感醸成・ビジョンや目的の共有

社長から号令がかかったから。同業他社がやっているから。こんな受け身の気持ちでは、新事業を力強く推進していくことは望めません。

今後の会社の将来を考えたときに、なぜ今の事業の延長上ではダメなのか?なぜこの新事業が必要なのか?この新事業が失敗すると、会社の将来にどんな悪影響が生じうるのか?

マネジメント層が危機意識を共有し、明確なビジョンと新事業の必要性・目的を腹落ちさせなければ、0を1にする苦労を乗り越えることはできないでしょう。部下をモチベートする際にも、マネジメント層の覚悟は見透かされます。

マネジメント層にとっても、「自分が言い出したことではない」「決まった後にアサインされただけ」という方もいるでしょうが、新事業を推進することになった背景を理解し、必要性を腹落ちさせる努力が必要です。

マネジメント層の知識拡充

新しい市場、新しい技術、新しい製品に手を付ける際、その分野の知識が十分にある方が稀です。ノウハウの欠けている部分を埋めるために、外部から人材を採用したり、市場や他社をリサーチしたり、新しいパートナーと手を結んだり、アウトソーシングしてコンサル等を活用したりします。

ではマネジメント層が新事業分野に対して門外漢のままでいいかというと当然そんなことはなく、可能な限り早期にキャッチアップできるよう努める必要があります。外部のセミナーに参加したり、書籍を読み漁ったり、その分野に詳しい友人に話を聞いたり。できることはいくらでもあります。

ありがちなのが、新事業を実際に企画する担当者(プレイヤー)は知識やノウハウを持っていても、マネジメント層は持っていないというケースです。この場合、以下の懸念があります。

  • 知識がないからとマネジメント層は理解を怠り、部下に任せきってしまう(この場合、権限委譲ではなく、責任放棄に近いです)
  • マネジメント層が持つ限られた知識・ノウハウをベースに口を出し、判断する(判断基準に正確な根拠がなく、部下のモチベーションを大きく下げる危険もあります)

これでは、適切な意思決定も、部下との信頼関係構築・チームビルディングもままならない、というのが正直なところです。

新事業に障害はつきものです。だからこそ、担当するマネジメントは、社内の誰よりもその分野に関心を持ち、貪欲に知識とノウハウを吸収する姿勢が不可欠です。仮に担当者(プレイヤー)と比べて知識量で劣っていても、その吸収する姿勢があれば良好な関係を築くことは十分に可能です。良い関係・良いチームができていれば、相互補完しながら、適切な意思決定を行っていけるでしょう。

マネジメント層のリーダシップ・担当者への理解

既述の通り、新規事業を推進していく上で、担当者(プレイヤー)の方が知識やノウハウを持っているケースはよく見受けられます。特にデジタルネイティブな若者がターゲットになる場合、年代が近い方が顧客心理も含めて理解が深かったりします。

マネジメント層として、知識やノウハウで追いついていこうという姿勢はもちろん大切ですが、知識やノウハウ・顧客理解に優れた担当者をモチベートして、能力を最大限発揮させることも重要な仕事です。

リーダーシップ

担当者をモチベートするにあたり、リーダーシップは必須の能力です。リーダシップは先天的な能力であるという議論も根強くありますが、今では後天的に身に着けられるものという見方が一般的です。

リーダーシップ論としては、アイオワ研究、オハイオ研究、ミシガン研究、PM理論、マネジリアルグリッド、フィードラー理論など数多くありますが、体系的な知識と自身の経験を掛け合わせながら、状況に合ったリーダーシップを取っていくことが求められるでしょう。(各種リーダーシップ論については、別途取り上げたいと思います。)

担当者への理解

ジェネレーションギャップへの理解は永遠の課題です。「自分はこう指導されたから」「これくらいは当たり前」そんな前提を持って指導してしまうと、部下をうまくモチベートできない可能性があります。

  • まず世代が違う、という事実を把握すること(良い悪いではなく、生きてきたバックボーンが違うという認識こそ重要)
  • 世代の特徴・傾向を把握すること(ゆとり世代、さとり世代、ミレニアル世代など、色々なまとめ方がされています)
  • とはいえ、世代で括りすぎないこと(ゆとり世代は~と決めつけてかかっても、モチベーションを落とすだけです)
  • 個々の特性を把握するよう全力で努めること(何が好きで何が嫌いか、何が得意で何が苦手か、何に楽しみや充実感を見出すのか)

これかの点に留意し、担当者を理解することが、良い関係性を築く土台になります。理解しようとする、知ろうとする姿勢があるだけでも部下にとっては嬉しいことで、士気が高まるはずです。

まとめ

これから、新規事業の推進が益々求められるようになるのではないでしょうか。

  • マネジメント層が危機感を共有し、新規事業の必要性を強く理解した上で、どんな障壁があっても推進していく覚悟を持つ
  • マネジメント層は新事業に対する知識を深め、責任を持って判断できるよう努める
  • マネジメント層は、ノウハウを持つ担当者の能力を最大限引き出すべく、リーダーシップの発揮・担当者理解の深化によってモチベートしていく

マネジメント層の変革こそが新規事業成功のカギだと認識したうえで、上記3つの点に留意しながら新規事業を推進していくことが重要です。

pfworkでも新規事業を始めとしたプロジェクト支援を行っています。お力になれることがあれば、お気軽にご相談ください。

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