小規模事業者持続化補助金の概要とポイント
pfworkでも複数の申請支援を行っている「小規模事業者持続化補助金」についてのご紹介です。
販路開拓等を対象とした使い勝手の良い補助金であり、補助対象者の条件に合うのであれば、十分検討に値する補助金だと思います。
一方で、今年度は(コロナ特別対応型)が新設されるなど、その違いをおさえておく必要性があります。
この記事では、小規模事業者持続化補助金の概要とポイントについてまとめています。
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金の公募要領にはこう記載されています。
小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」という。)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。
出典:日本商工会議所「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>【公募要領】第7版」
端的にいえば、販路開拓(およびあわせて実施する業務効率化)に取り組む小規模事業者等に対して、かかる経費の一部を補助するためのものです。
販路開拓が不要な小規模事業者は少数派だと思いますし、補助対象事業に取り組んでいる、または取り組む予定があるのであれば積極的に活動したい補助金です。
小規模事業者持続化補助金の対象となる事業者
補助金の名称にもある通り、小規模事業者であることが条件のひとつですが、業種によって従業員数のバーが異なりますので注意が必要です。
業種 | 従業員の数 |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 常時使用する従業員の数 5人以下 |
宿泊業・娯楽業・製造業その他 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
上記条件にあてはまれば、個人事業主(商工業者)も対象です。会社や会社に準ずる営利法人等も対象ですが、一般社団法人や法益社団法人、医師や医療法人等は補助対象外となります。詳細は公募要領をご確認ください。
小規模事業者持続化補助金(一般型)と(コロナ特別対応型)の違い
小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)は小規模事業者持続化補助金(一般型)をベースに新設されたものであり、多くの点は共通しています。
それでも、(一般型)と(コロナ特別対応型)には使い勝手にも大きく影響する重要な違いがありますので、3つに絞ってご紹介します。
補助対象となる期間の違い
(一般型)と(コロナ特別対応型)の補助対象となる期間は下表のとおりです。
補助金の種類 | 補助対象となる期間 |
---|---|
小規模事業者持続化補助金(一般型) | 交付決定日~実施期限まで |
小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型) | 2020年2月18日~実施期限まで |
交付決定日や実施期限はどの回の受付締切分に申請したかで変わってくるものですが、大きく違うのは(コロナ特別対応型)では2020年2月18日以降に発生した経費であれば遡って補助対象経費として含めてよいということです。
(一般型)であれば交付決定まで対応を待たなければいけない一方で、(コロナ特別対応型)であれば交付決定を待たずともよいというのは、至急対策を打ちたい事業者にとって大きなメリットになるでしょう。
補助対象事業の違い
先述の通り、小規模事業者持続化補助金は販路開拓等・業務効率化(生産性向上)の取り組みに対して支給されるものです。
(コロナ特別対応型)については、これに加えていくつか要件があります。その中でも重要なのが、補助対象経費の6分の1以上が下表のいずれかの要件に合致する投資であること、という要件です。
(コロナ特別対応型)に必要な要件 | 投資内容 |
---|---|
A:サプライチェーンの毀損への対応 | 顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと |
B:非対面型ビジネスモデルへの転換 | 非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと |
C:テレワーク環境の整備 | 従業員等がテレワークを実践できるような環境を整備すること(補助事業期間中に1回以上テレワークを実施すること) |
この要件があるからこその(コロナ特別対応型)でもあり、申請対象としている事業が上記に沿っているかどうかは確認する必要があるでしょう。
補助金の補助上限額の違い
補助上限額が異なるというのも(一般型)と(コロナ特別対応型)との大きな違いです。
補助金の種類 | 上限額 |
---|---|
小規模事業者持続化補助金(一般型) | 上限50万円(定率補助)+事業再開枠50万円(定額補助) |
小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型) | 上限100万円(定率補助)+事業再開枠50万円(定額補助) |
コロナ特別対応型の方が補助上限額が50万円多いため、取り組みに多く経費がかかる事業者にとっては(コロナ特別対応型)のほうが魅力的にうつるのではないでしょうか
なお、事業再開枠とは、業種別ガイドラインに基づき、感染拡大予防のために行う感染防止対策の取り組みに対しての補助を指します。この事業再開枠は定額補助で、(一般型)や(コロナ特別対応型)に加えて申請することが可能ですが、(一般型)や(コロナ特別対応型)事態の補助金額以下に抑える必要があります。
補足として、特別創業支援等の条件に当てはまれば上限額に上乗せがあります。
補助率の違い
補助上限額だけではなく、補助率にも違いがあります。
補助金の種類 | 補助率 |
---|---|
小規模事業者持続化補助金(一般型) | 2/3 |
小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型) A:サプライチェーンの毀損への対応 のみ | 2/3 |
小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型) B:非対面型ビジネスモデルへの転換 または C:テレワーク環境の整備を含む | 3/4 |
「B:非対面型ビジネスモデルへの転換」または「C:テレワーク環境の整備」に取り組むことで補助率がアップするため、必要に応じて追加施策を検討するとよいでしょう。
同じ小規模事業者持続化補助金ではありますが、上記の違いは十分認識したうえでどちらを利用するか判断していく必要があります。
小規模事業者持続化補助金のスケジュール
小規模事業者持続化補助金は(一般型)も(コロナ特別対応型)も第4回まで受付が予定されています(2020年度)。
そのうち、(一般型)はすでに第2回まで、(コロナ特別対応型)は第3回まで受付が締め切られており、残りのチャンスは以下の通りです。
補助金の種類 | 締切日 |
---|---|
(一般型)第3回受付締切 | 2020年10月2日 |
(コロナ特別対応型)第4回受付締切 | 2020年10月2日 |
(一般型)第4回受付締切 | 2021年2月5日 |
小規模事業者持続化補助金自体は、2021年度以降も継続すると思われますが、現時点で必要としているのであれば、上表の締切に間に合うよう準備することをおすすめします。
小規模事業者持続化補助金の採択率
第2回受付分までの採択率は下表の通りで、この補助金の採択率は比較的高い傾向にあります。
補助金の種類 | 採択率 | 申請数(応募者数) |
---|---|---|
(一般型)第1回受付分 | 90.8% | 8,044件 |
(一般型)第2回受付分 | 65.1% | 19,154件 |
(コロナ特別対応型)第1回受付分 | 81.6% | 6,744件 |
(コロナ特別対応型)第2回受付分 | 81.3% | 24,380件 |
ただし、申請数が大幅に増加傾向にあること、採択率が下落傾向にあることからも、これから申請する場合には十分に準備することが大切です。しっかりと公募要領を読み込み、趣旨に合った使い方である旨をアピールすることが必要でしょう。
まとめ|小規模事業者持続化補助金の特徴をおさえて申請を
以上、今回は小規模事業者持続化補助金の(一般型)と(コロナ特別対応型)についてまとめました。
販路開拓等を対象とした使い勝手のよい補助金であり、支援額も決して少ない額ではないため、コロナ禍で売り上げが減少している小規模事業者にとって心強い支援になると思います。
(一般型)と(コロナ特別対応型)、どちらが適しているのか見極めながら、必要であれば専門家の支援も取り入れて、積極的に活用することをおすすめします。