既存顧客を重視すべき理由を3つの法則から考える

既存顧客の維持

売り上げ向上のために、新規顧客を獲得する!そのために積極的な営業活動や販促活動を行う!というのはよくある話です。確かに、客数を増やすことは売り上げ向上に不可欠で、どの企業・どのお店にとっても重要な活動であることに違いはないでしょう。

ただし、それがいつも優先されるべきことかというと、必ずしもそうではありません。昨今のコロナウイルスの影響でも粘り強く売り上げを保っている企業やお店は、常連さん・お得意さんなどのいわゆる「既存顧客」に支えられたというケースが少なくないようです。実際、近所のお店を見てみても、普段から既存顧客とのリレーションを大切にしていたところは、既存の顧客が積極的にテイクアウトを利用するなどして売り上げに貢献している姿が目立ちました。

既存顧客が大切になるのは、今のような緊急事態下だけではありません。新規顧客を獲得するよりも、既存顧客に目を向けた方がうまくいくケースは想像以上に多いです。

今回は、その既存顧客の大切さを示す3つの法則を取り上げながら、売り上げ向上の施策について考えます。

1:5の法則

1:5の法則とは、「新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍もかかる」という法則です。

営業やマーケティングの経験者に限らず、新規顧客の獲得により大きなコストがかかるということはイメージしやすいと思います。既存顧客は少なくとも一度は商品やサービスを購入しているため、比較的少ないコストで再購入してもらえる可能性が高いです。

コストがかかるということは、それだけ利益率は下がるということです。新規顧客の獲得にばかり目を向けすぎると、いつの間にか利益率が悪化していたということにもなりかねません。

もちろん、継続的に拡大していくためには新規顧客の獲得は欠かせません。ですが、短期的な売り上げ向上だけを目的に割引等の販促活動を行ってしまうと、結果的に企業利益を損なう可能性があることには留意が必要です。

5:25の法則

5:25の法則とは、顧客離れを5%改善すれば、利益が25%は改善されるという法則です。

1:5の法則でも記載の通り、新規顧客を獲得するには余計にコストがかかります。既存顧客が5%離れてしまったぶんを新規顧客で埋めるには今まで以上のコストがかかり、結果として利益率が下がってしまいます。

さらに、既存顧客はその関係性が深化していればいるほど、購入数や購入単価、購入頻度を高められる可能性も秘めており、新規顧客と比べて利益率の向上につなげられる機会が多いでしょう。

売り上げを伸ばすとなると顧客開拓が真っ先に浮かびがちですが、既存顧客の維持率を改善するだけでも大きな利益伸長が見込めます。

2:8の法則(パレートの法則)

2:8の法則とは、顧客全体の2割である優良顧客が、売上の8割を占めるという法則のことで、パレートの法則といわれることも多いです。

この法則は、既存顧客の中でも、特に2割の優良顧客に向けた施策に注力することで、8割の売り上げを維持・拡大できることを示しています。

新規顧客の獲得や既存顧客全体の維持のための施策ももちろん大切ですが、リソースが限られていればいるほど、既存顧客、優良顧客に目を向けた営業・マーケティング施策が重要になってくるでしょう。

まとめ|既存顧客に目を向けた営業・マーケティングの重要性

1:5の法則5:25の法則2:8の法則を通じて、既存顧客に目を向けた営業・マーケティングの重要性についてまとめました。

新規顧客の獲得は、企業の継続的な拡大には不可欠です。一方で、新規顧客獲得はコストがかかる取り組みであり、また短期的な視野での新規顧客獲得施策は既存顧客の反発を招き、結果として利益の低下につながる危険性もあります。

短期的な視点だけで売り上げ目標を立てて行動するのではなく、中長期的な成長戦略にもとづいて、「既存顧客の維持」と「新規顧客の獲得」にどう資源を配分しどんな施策を打っていくか、そのバランスはとれているか、既存顧客維持の重要性を踏まえた施策になっているか、十分に考慮した上で「既存顧客の維持」と「新規顧客の獲得」のための施策を実行していくことが重要だといえるでしょう。

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